戻る  トップページへ  

■集中Aパーティー 蛇谷 シリタカ谷〜奥壁スラブ〜左岸尾根(下降)
■2004年9月11日〜12日
■林 岩瀬 榎本 

シリタカ谷の下部は手の付けようがなく高巻きに終始したが、中ほどからは連瀑とゴーロの組み合わせで遡行者を奥壁スラブに導く。しっかりした登擧力で連瀑を乗り越え、充実した奥壁スラブへとつなげたい。


メンバーは今回初めてとなる林サブリーダーと鈴鹿や東の川で既に一緒をしている岩瀬君。シリタカ谷は登山体系で遡行図を見るとぼちぼちエグそう(遡行の楽しみもあるので詳しくは見なかった)。石川県側の白山スーパー林道ゲート手前の駐車場で夜中に落ち合う。寝酒を入れて就寝。
翌朝、明日の集中を願ってそれぞれのパーティーが散る。蛇谷のゴーロ帯に歩みを進める。まもなくシリタカ谷の出合に着く。

出合に30mの豪快な直瀑をかけていたが、当然パス。左岸から榎本・岩瀬・林のオーダーで巻く。手を振る藤澤さんパーティーに振り返す。所々踏み跡があるものの不安定な登り。途中から踏み跡が顕著になった。踏み跡から沢に戻ろうとトラバースすること3度目で、いいトラバースルートを発見。私が途中で上げ気味にルート取りを間違え、林さんのすんなり巻き降りたルートを追う。雪国の渓らしい草付きの好トラバースルート。すぐ上の4m直瀑は右岸から小さく巻く。林さんがバイルで丁寧にステップを切っていく。滝上からナメを目指してやや厳しそうな草付きを15mほど懸垂。

わずかなナメを少し樂しみ、3m滝を乗っ越すと滝。7m滝は若干細かく榎本が空身で右岸をフリーで登る。シャワーがつらかった。
  細かい7m滝
(写真 林さん提供)

               

2段目

7m滝の上は屈曲点に倒木がつまる半洞窟状ゴルジュ。右に大きく屈曲したらすぐ7m滝。ホールドは豊かだが、瀑水を浴び、登り出しが冷たい。林さんが空身となって登る。セカンドが荷揚げで若干の工作をする必要があり、榎本が上がる。残していく岩瀬君から「ハーケン抜くんですよね、初めてだ」と初々しい言葉。ゴーロの後にまた滝。6mは若干もろい右岸リッジから林さんリードで越え、ザイル回収中の林さんをおいて岩瀬・榎本が先行する。
小滝を越え、右へ屈曲すると連瀑が目に入る。大きな倒木が滝中央に倒れかかっている5mはホールドが細かい。
   意外に渋かった
流水左をシャワークライムで榎本が登る。岩瀬君を引き上げたあと、林さんが下段を登っている間に、榎本が上段の7mは左岸コーナーの弱点を拾いながら登る。その後ゴーロとなり、きめの細かい7m垂瀑。これは容易な左岸を巻く。すぐ上にはこれもナメた優美な逆くの字6m。


     逆くの字
どうやらこの谷は連瀑とゴーロというリズムのようだ。雪渓跡を感じさせる残木の溜まったゴーロを過ぎると谷のツメは稜線下からきつい斜度の奥壁スラブと呼びたい大きな斜面が目に飛び込んできた。枯れ気味のトイ状を持った15mスラブ滝は左岸を長めに巻く。時間は14時過ぎ。奥壁スラブが見えてきた
奥壁スラブは近づくに連れ、傾斜をゆるめたように思われる。林さんは当然登る気のようで、一度検討した巻き道には向かわず先頭を切って進む。私も望むところ。岩瀬君は顔が引きつっていた。奥壁スラブはあまり記録を見ないとのこと。楽しみだ。奥壁の形状は逆正三角形で漏斗の底から登擧を開始。1ピッチ目(榎本リード)は若干細かくもろい登り出し。目の前の6m滝はハーケンを打てずランナウト。右岸から登り、落ち口左岸にトラバースして灌木にランニングを取りながら直上。浮き石の多いスラブだ。50mザイルが伸びきった。ハーケンを打つとリスが広がって、確保支点としては使い物にならないものばかりだったが、なんとか支点を作って後続をあげた。2ピッチ目(林リード)は総じて容易。3ピッチ目(榎本リード)は私が色気を出してきれいな壁をしている奥壁スラブ中央に向かった。右岸は灌木に乏しく結構厳しそうだった。ホールド・スタンスが細かくなる。指先の第一関節半分程度のホールドも時折ある。それさえも剥がれることがあり、落石も頻発。慎重に登っていく。スタンスもスメア気味がありほとんどランナウトのしょっぱい登り。ないよりマシと考えて気休めのランニングを取るが、回収中にハーケンが簡単に抜けたらしい・・・。ビレー点と狙っていた灌木に近づく。手前が見た目以上にいやらしく灌木をつかもうとするはやる心を抑えて気休めのランニングをとる。ゆっくり慎重にと自分に言い聞かせる。灌木に着いた。今までの中で一番まともな支点で、そこから最後の4ピッチ目(林リード)。スラブは終えたが、余韻を残す広がりの中、草を交えた岩尾根っぽい登り。ホールドも豊富で楽そうに見えるが奥壁スラブの最上部で20mほどランナウト。緊張を強いられたようだ。斜度の緩くなる手前の灌木からしがみつくように乗っ越して、右へ4mほどザレた砂礫のトラバース。高度感が緊張を増幅させる。そこで時間は18時を回っていた。
1ピッチ目
(写真 林さん提供)

2ピッチ目

3ピッチ目
(写真 林さん提供)

3ピッチ目(ビレー点より)

4ピッチ目

稜線まではまだありそう。逡巡後、明日のことなどを考えて往路を懸垂で戻ることに。落石とまともな支点が取れるかが問題だ。途中何度も打ったハーケンでまともに効いたものはあまりなかった。ザイルを懸垂用にさばくが焦っているのか、情けなくも団子。時間をロスし、懸垂に入る。下降を主張した楽天家の私から懸垂。下降の問題は浮き石と支点。懸垂1ピッチ目は登擧中一番しっかりした灌木でピッチを切る。「なんとかなるやろ」の念が通じたのか、奇跡のように落石がない。やはり悪運は存在!懸垂2ピッチ目からはヘッドランプをつける。
岩瀬君のヘッデン
もう薄暮とは言えない状態だった。2ピッチ目はおあつらえ向きの灌木を見つけて短めに切る。落石を予想して懸垂終了点から離れて右岸に寄り、ハーケンのリスを探す。ここでも悪運を発揮。リスを見つけて打ち込むとハーケンが甲高い声で歌ってくれた。2枚打って後続を迎えて3ピッチ目をセット。垂壁でないため、ザイルを投げるたびに団子になったのは閉口。さばきながらの懸垂ばかりで時間を食う。4ピッチ目もここしかない灌木を見つけ、ニンマリ。ここまで来ると当然の悪運がもたらす支点はあって当たり前。登りは4ピッチだったのでぼちぼち終わるはずとラストのピッチと期待しながらも登擧スタート地点にはまだ着かない。残りザイルが数メートルになってもまだ下がある・・・。下をヘッドランプで照らすと何とか届きそうだが真っ暗闇の中の遠近感なんて当てにならない。最悪登り返しを覚悟して懸垂を続けた。半身になり足元ばかりを照らしていたが突然登擧開始地点に着いた。ザイルを外し、力一杯ホイッスルを鳴らす。スラブ滝の巻きで通過した草付きも安全策で沢から懸垂。うねる狭い沢筋を団子になるザイルにストレスを感じながらもザイルを下ろしていく。2ピッチの懸垂で15mスラブ滝まで下り終えた。セカンドの岩瀬君を迎え、「この際贅沢は言えんから」とテン場偵察に送り出す。なんと20mも下らないうちに岩瀬君が「いけそうなのが!」と下からコール。またまた悪運?「整地しといて!」とお願いして林さんを迎えて、ザイルの回収を任せて下る。早く見つけただけあって岩瀬君のテン場はさすがに手狭。晴れとはいえ水流脇すぎて不向き。左岸の枝沢の流れ込みになんとか3人が横になれそうなところを強引に整地。見事にスペースができあがる。遅くはあったが各自がてきぱきと20:30過ぎから夜の準備。あきらめていた焚き火をおこすと人心地が着く。取り出したウィスキーをまずは林さんに渡す。そして岩瀬君と私。安酒が高級酒になる。いつもながら胃の腑にしみわたるこの瞬間はたまらない。しっかりと食事を取り23時過ぎに就寝。見事なスペースといってもツエルトは傾いていて斜面上側の就寝スペースをまさぐると背中部分に石があるのを発見。先に入った者がえり好みをするのは御法度。石を我慢して横になる。
写真中央上を幕場とした
一ヶ月分ぐらいの背骨伸ばしをしてもらった感じで目覚める。ただ申し訳ないことに下側の林さんの方が下にずれてなかなか眠れなかったらしい。疲れを取るための5時起きだったのに、昨夜の残業がこたえたのか、腕時計アラームでは目が覚めず少し遅れて林さんのコールで活動開始。岩瀬君の朝食パスタに力を付け、梨のデザートに驚く。下降開始。この頃から話題は岩瀬君の集中4連敗阻止なるか、だった。ルートは左岸枝沢に早々に上がり、シリタカ谷とアカイチ谷の中間尾根を下るというもの。下りだけだ。間に合うはず。狙っていた枝沢から尾根を目指す。ところがこの枝沢がなかなかのもの。出合の7m滝を越えるとすべてがナメと言いたくなる沢。一部ガレがあるものの敷き詰められたナメを詰めていく。

(写真 林さん提供)

      

稜線間近


3度ザイルを出したほど時折渋い所があった。はかない踏み跡を拾いながらの下降。10時の定期交信は浅野・安井Pと取れる。現状を報告するが、集中が難しくなりつつあることを告げる。時折ロストするが読図して何とかトレース。
登攀した奥壁スラブ遠景

それにしても当てにならない踏み跡だ。時間は経つばかり。ふと時計を見ると集中はほぼ絶望的。取水堰堤を眼下に捉えた頃、道をロストしてしまう。結局アカイチ谷出合の大滝上部に懸垂で降りるはめに。

ようやく水にありつけた  懸垂1ピッチを残す

 わがパーティーの浜口京子

涙のアカイチ谷懸垂


時間は集中時刻の13時前だ。岩瀬君4敗は決定的となった。さらにもう1ピッチの懸垂でアカイチ谷出合の大滝を下る。眼下は蛇谷。これで最後の懸垂になるはずだった。ラストの岩瀬君が降りてくる前にザイルを回収できるか確認したのだが、何故かみんなが揃って引っ張ると回収できない。30分ぐらい色々試したが結局だめ。疲れ気味の林さんが胃袋にエネルギーを詰め込むのを見計らって登り返しを誘う。二人で登り返し。右岸から巻き上がり、滝の落ち口をトラバース。手持ちのザイルは15mの補助ザイルだけで、かなりヒヤヒヤとした。最初は約10mのトラバース。ランニングは2つ取れたが次の30mトラバースがランナウト。真ん中で切らざるをえないが支点は草だけ。「草でビレー取った」とは信頼の証なのか。ザレザレのスラブ帯を慎重にトラバース。何とか懸垂地点に着く。泥に埋まった結び目を引っ張り出し、支点を変え、捨て縄を付け足して懸垂。この頃には蛇谷上部で集中していた他のメンバーが、失態を演じる私たちのいるアカイチ谷出合に集まりつつあった。破顔ならず、赤面の合流だった。岩瀬君集中4連敗・・・。

   お待たせしました、すいません・・・

駐車場にトボトボ・・・


行動時間 
1日目 14時間半
2日目 8時間

遡行情報
○奥壁スラブを登るなら日帰りは厳しい
○総じてテン場は乏しい
○アカイチ谷とシリタカ谷間の尾根は迷いやすい(かも・・)


メール  トップ 遡行した沢

SEO ギフト 掲示板 レンタルサーバー ブログ SEO