奥美濃 日野川前谷〜左岸支流〜美濃俣丸〜大ヤブレ〜金ヶ丸谷〜980mh左岸支流〜鈴谷川
■2003年11月16日〜17日
■中村・榎本
悪魔的な響きを持つ”奥美濃”に惹かれだした頃から三周ヶ岳南の沢を逍遙してみたかった。紅葉も終わった金ヶ丸谷は癒しの楽園だった。
◆11月16日
福井の山峡にもかかわらず広々とした空間を演出するダムサイト。見晴らしのいい立派な東屋でテントを張り、安着祝いの一杯。雨交じりの強い風も吹いているのか、木々の音が落ち着かない。翌朝6時頃にようやく起き出し、装備を整える。濃い灰色の空のもと上流を目指す。広野ダムの奥ではさらに新たなダムを建設中で、鈴谷川出合を見落とし、奥に入り過ぎる。引き返して入渓。出発の時はなかった雨が降り始める。全体的に難しいことはないが、マイナーな沢にもさびの入りかけたハーケンや残置ボルトという人の痕跡があった。
奥を伺うなかむらさん
さしたる所もなく、高度を上げていく。全体的に暗い印象の他は、やはり雪国の渓か、泥付き高巻きが何度かあった。ただでさえつかむ物の少ない泥付きだが、枯れた草では根っこさえつかめなかった。泥壁の上にはたわんだ木々が葉を落として冬支度をすませていた。
基本的な渓相
奥の滝の高巻きが少しいやらしいか
カツラの大木
ナメコ発見!
名菌たち!!
少しばかりのナメコを発見して大喜び。今夜が楽しみになる。視線の高さが左右の木々に追いついてきたころ、次第に沢水も減り、ついに沢形もなくなる。稜線が近いようだ。
稜線近くか・・・
そこからあっという間にヤブコギもなく稜線に飛び出した。岐阜県側は笹が密生していた。風が強く感じられる。ここからは岐阜県なのだ。天気の回復はまだ。奥美濃の秘峰美濃俣丸を目指して藪を漕ぐ。
頂上近くのヤブこぎ
忠実に稜線を辿っていると次第に笹が濃くなるが、思ったほどではなく、半時で着く。
美濃俣丸
濃いガスの中では眺望は拝めず、寒さのためか、少しにじんだ汗も立ち消え、写真を撮っている内にたちまち震えがきた。すぐに下降にかかる。目指すは岐阜県。分水嶺を越えるのだ。鞍部まで稜線伝いで行く予定だったが、笹に追いやられて高度を下げてしまう。ガスも薄れて、眼下に沢窪が確認でき、下ることに。順調に高度を下げるが、さすが、晩秋の谷。まだ14時回ったばかりなのに、谷中は雲天も手伝い暗かった。
下降中、大きな比較的樹皮の残る倒木に、ムキタケを発見。木の裏を確認すると大きなヒラタケも。このヒラタケが圧巻で、20cm近くの大物と筆頭に中ビリーカンに入りきらない大きさだった。お好み焼きほどのヒラタケなんて見たことないぞ。下降中、食味の劣るブナハリタケを選んでまたまたしぶくと収穫。
大木下の虫にやられてない見事なヒラタケ
ムキタケ
足早に下る。沢が左に折れ曲がった先にあった大発見。大きなブナの倒木一杯に並ぶ黄金色の粒、ねっとりとしたぬらめきを持つナメコたちである。思わず万歳三唱。時間も迫っているが、地形図からは難場もなさそう。あまりの光景に我を忘れた餓鬼どもはナメコをすべて取り尽くすとうわずり声で宣言。中村さんのナイフに仕込まれたハサミが大活躍。ナメコが自重でつぶれてはいけないと、袋を替えること2回。3袋に及ぶ大収穫だった。そこからは足取りも軽く金ヶ丸出合に向かった。
※
※
発狂、なめこ狂想曲・・・
どうすりゃいいのこのなめこ!!
※名優ナメコ
(※写真 中村氏提供)
ヘッデンも出したくなる頃に到着。出合はブナやミズナラに支配されるすばらしいテン場だった。しかし、なぜゴミを捨てて帰るのだろうか、何とかならないもんだろうか。雨の中しぶとく焚き火を熾し、したたかに酔う。ナメコ汁のうまかったこと。ヒラタケのあぶり焼きも見過ごせないうまさだった。翌日は金ヶ丸谷から根洞谷に入る予定ではあったが、すべての目的(美濃俣丸・ナメコ・焚き火)を果たせたことと、夜8時から名神が工事通行止めになることから金ヶ丸谷の遡行に変えて、就寝。予報とは裏腹にテントに落ちる雨音がしていた。
雨に負けない焚き火
◆11月17日
起床。若干雨が残る中、朝食を済ませ、撤収していると、青空が見えてきた。さあ出発だ。
なめこチーズ雑
朝食です
お世話になったテン場
右手の黄色い袋にはなめこが一杯
金ヶ丸谷
雲の流れが早い。空模様とは裏腹に、葉を落としたブナやミズナラに注ぐ柔らかな光。冬木立のもつ清雅さ、足元には※山猫別当のうなる札束。途中の手の付けられない滝の高巻きも楽しみの範疇に過ぎず、いつの間にか快晴となった空のもと我を忘れていた。金ヶ丸谷970mhの左岸流に無事進路を取り、稜線へ詰めた。ヤブコギは全くなく、葉を落としたブナの森をサクサクと踏みならし、分水嶺に立った。はるかに見渡せる広大な空間。下降に入る前の落ち着かない一瞬だ。意を決して車の待つ福井県に下降を開始する。記録未見の谷だ。笹に足を取られながら、黒々と腐った蕗の多い沢窪に着くとまもなく流れが出始めた。鈴谷川は、ガレが多いし、むした苔に足を載せると惜しげもなく剥がれるのには閉口させられた。淡々とした流れ。美濃俣丸からの流れを右に見てわずかで、林道に到着。青い空、優しい冬木立。ぐるりと回った山旅に思いをはせての林道歩き。車止め近くで野生の梨を拾う。品種改良されているだろう栽培物と遜色ないのに驚く。すばらしい晩秋の沢旅だった。
森の恵
※「山猫別当のうなる札束」・・浦和浪漫山岳会故池田知沙子さんによる落ち葉が札束のようにたまったことの形容
車デポ点8:06〜13:04稜線〜16:58金ヶ丸谷出合(行動時間約9時間)
金ヶ丸谷出合8:38〜12:41稜線〜14:38鈴谷川林道(行動時間約6時間)
キノコ採りに時間をかなり使ってるので実際はもう少し短いと思います
山行情報
○晩秋の沢登りで雨に降られたが、思ったほどは寒くない(テント・タープの併用はとっても快適!!)
○11月中旬ならナメコはいくらでも発生しているという印象
○北面の沢にはキノコは少ない、日当たりのよい沢がキノコに恵まれる印象を受けた
○鈴谷川林道は540mh付近まで右岸に林道が延びている
○今庄サイクリングセンターで入浴可能(火曜定休)
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