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万太郎谷本谷圧倒的な残雪の渓から谷川岳へ〜

             2000年 7月20・21日

 ゆりわさび 榎本 

一日目
いよいよ上越の沢である。
雪国の渓とはいかなるものか。秀渓との噂を聞いての入渓だ。豪雪の今年はいかに?
  (車デポ地点から関越道に向かう。
                                                        目指す谷川岳は遠い)
 

(稜線ははるか遠い)

水は濁り汚い。去年の黒部上廊下の汚さを彷彿とさせるが、減水ではなさそうだ。
稜線の登山者の影響でもあるまいにとは思いつつ、やや意気をそがれた遡行となる。

特徴のない開けた沢歩きの後オキドウキョの瀞でわずかな泳ぎ。
(オキドウキョの瀞)

(その後200m以上のナメ。見事)


    (気持ちのいい滝が続く)

井戸小屋沢出合を過ぎ、噂の関越トンネルの換気口に出る。見落としたので
はと心配したが、見落とすはずのない無粋な巨大な構造物。高速の恩恵を否定はできない。少し複雑。
     (関越道の喚起口。いいランドマークでもある)

時間の経過と共にどんどん登って行と谷をつかさどる神の一人、雪渓さまのお出ましだ。
雪渓は沢の右半分を覆い、側壁の草付きはまだ春になったばかりで風にそよぐ。
やさしい気色に見えるが、だまされてはいけない。
        (川の中にあるのは雪塊)

山菜の期待と雪渓の不安。複雑な心理で進む。さっそく上物のウドを発見。生でかぶりつく。
すぐに高巻きとなる。巻きすぎないように注意しながら行く。残置トラロープあり。
(谷を覆う雪渓そば。この左でウド発見)
          

川床に降り立った時から上越の沢の本性の一端を見ることに。
(膨大な残雪量。関西の感覚では信じられない量だ)

ときおり姿を見せる釜は美しさを彷彿させはするが、雪渓で側壁
がえぐられ、その泥で汚れた水はよどんでいる。釜の流れ出しは砕かれた
木々が流れをせき止め、三抱えもあるような大木もなぎ倒され行く手を遮る。
この泥の量・このなぎ倒された大木。上越地方でも珍しい残雪量では。
梅雨末期特有の豪雨がなかった影響だろか。
どうせ雪渓で覆うならすべて覆ってくれという気持ちだった。
いやらしい草付きの巻き・切れ切れの雪渓が残したスラブについている土。
雪国の沢を体感しつつ遡行するが、いかんせんやっかいだ。
足を置くと土がベアリングの代わりをし、滑りやすい。
一ノ滝手前700〜800m地点から雪渓が沢を覆いはじめる。
沢の高低差も手伝い、三階建てビルの上にまで盛り上がっているような雪渓。
        (後ろは山じゃないよ。雪渓に木々の残骸がのってる〜)

ついに一ノ滝手前S字蛇行点に着く。憔悴した気分で休憩。書きつづる遡行図
と地形図・先達の遡行図を付き合わせ、現在地の特定をし直す。
上流に目をやると雪渓は急激に薄くなり、大きな口を開けている。
地獄の口だ。雪渓の上を歩く気にはなれず側壁下部バンドを灌木頼りにトラバース。
地獄の口を過ぎ、再び雪渓に降り立つ。

(ようやく見えた一ノ滝)
行けそうに見えるが、雪渓が切れて近くて遠い一ノ滝だ。
             
一ノ滝をどう越えるか。雪渓の舌端は薄く、近づく気はしないし、降りたとしてもその下は釜。
滝の右を巻けば楽そうだが薄い雪渓を踏み渡る気にはなれず、左の巻きにかかった。
ハングしたシャクナゲ。頼りにならない草。ザックを下ろしたりして何とか小尾根にはい上がる。
植生がめまぐるしく変化し、ようやく風通しのいい尾根上部に出た。
いかにして巻き上げられないように低く巻くかが高巻きの要諦。
獣の気持ちで楽そうなトラバースルートを探す。ゆうに100m以上は隔たった谷底。
時折30mの一ノ滝が優美な流れを落としているのが目にちらつく。
灌木を握る手に力が入る。嫌なトラバースが続き、のどが渇く。2時間近く口にしてない。
滝の落ち口に近づいたとき正直ほっとした。
へたり込むように落ち口に降り、半濁りの沢水をがぶ飲みする。
結局先ほどからトータルで2時間の高巻き。
いやはや、M.Yさんもようやるわ。この滝はやっぱり右から巻くべしである。でも近づけなかったんだなあ、右には。

時刻も三時をまわりテン場探しに意識が行く。
高巻き中に見つけた上流部のポイントを確認するべく遡行する。沢の出合で、盛り上がったところ。
快適な平地ではないがテン場はここしかないだろう。
   (結局、唯一無二のテン場であった)

タープを張ったり、夕食の準備をしているとき、ゴサッと不気味な大きな音を立てて
雪渓が剥落がする。その度に雪渓を見てしまうが、
夕暮れの雪渓は下流に白い息を低く強く吐き出し何もなかったようなそぶりだ。
        (崩れたのは下の雪渓?)

上流を見ると雪渓が覆い尽くしている。明日はどうなるか。稜線に巻き上げられるのか?
稜線ははるか高い。
きらめく星を見ながらの就寝。好天の証だ。

二日目
翌朝、気楽な雪渓歩きから始まるが、すぐに、巻いたり、倒木伝いで降りたり、苦難が続く。  
          
(谷を埋め、木々をなぎ倒す雪渓。岩魚も住めない死の地帯か)

あまりの雪渓の量で二ノ滝も隠れていると思ったが、20mほどの滝に出る。二ノ滝だった。
右を慎重にフリーで登り遡行を続ける。

核心の三ノ滝に出た。25mの直瀑と20mの二段の斜瀑だ。
 (三ノ滝)

基部に確保のハーケンを打ち、空身で滝の右手を登る。
           (三ノ滝にとりつく)
見た目よりホールドも多く、問題なく登る。
上のスラブ滝は右手から巻くように登る。ホールドが乏しく少し嫌だった
                      (三ノ滝を抜け、潅木が出て笑顔がこぼれる。
                                    谷に雪塊が・・・)
核心部は通過した。
核心部を抜けるとすぐにトイ状の流れがでた。(トイ状の流れ)

しばらく歩くと、谷は急に開け、稜線の近さを感じるようになる。
       (越し方を振り返る)  

 (目指す稜線が近くなってきた)

順調に高度を上げ、ようやく稜線に出る。
読図もまずまずで、ぴったり肩の小屋に出た。
(この開放感!!)

谷川岳のピークに向かう。
すぐにガスがかかり、朝日岳のいい写真は収められなかった。
         (谷川岳ピーク)
頂上で地図を広げ山座を同定後、下山開始。

ロープウェイで土合に降りて楽をしようということになり、急きょルート変更。
車は新潟県。向かう先は群馬県。「いつも沢は反対に降りるなあ」と言われつつ、ピッチをあげて下る。
不安は終発のロープウェイに間に合うか。すれ違う人に聞くが不明。コースタイム40分を残し、天神平
からの放送が耳に届く。「本日の最終は4:30」。あと、3分しかない。気力も抜け、ボチボチ下る。
  (林道に出た。駅はもう遠くない)

ようやく下山の後、土合に着くと駅の時刻表を散見するとあと2分で水上駅出発とのこと。
噂の地下駅ではあるが、そら急げと半ば走る。なんか急いでばかりだ。
ホームに着いたが電車は来ない。ゆっくり土合の階段を歩けばよかった。
トンネル内で電車の反響、来たかと喜んだが、貨物だった。
かび臭い中、あきらめの気持ちでシートを広げ、宴会モード。
バックの中身をぶちまけて酒とつまみを探し出す。
          (土合の地下駅で新聞広げて宴会)
   このあとパニックに・・・

また電車の音が聞こえる。また貨物かと思うと様子が違う。電車のスピードが近づくに連れ落ちるではないか!
あわてるのもパッキングなどできるはずもない。電車に荷物を投げ込む。
ペットボトルや柿ピーやコッヘルにマット・・・。下車する登山者にも手伝ってもらいなんとか乗り込んだ。

車デポ点9:15―15:50一ノ滝上流部(泊)
一ノ滝上流部7:15―14:30肩の小屋―オキの耳―19:40土合駅



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