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■2004年8月11〜14日
■飯豊連峰 大石川 東俣千代吉沢
■森・榎本

三面水系を目指すも、ダム手前で林道崩壊の憂き目。急きょ転戦した大石川千代吉沢だった。中流部までの険隘なゴルジュと上部の草付き・雪渓。寡雪も手伝ってか、快適で楽しい遡行だった。(実は南の蕨峠越えは可能だったことを後で知った)

一宮ICから20kmあまりの渋滞で、一般道に逃れたが、それもギリギリ花火大会の終了に捕まり大渋滞するも何とか突破。中央道を飛ばして50分遅れで東京から来るJAC青年部の森さんと松本駅で落ち合えた。運転を交替しながら新潟北部村上市手前のコンビニで睡魔に負ける。翌朝、天気予報通りの好天のもと、気合いの高ぶりを感じながらも三面に向かうが、林道の崩壊の通行止めで呆然とする。こんなことで休暇を飛ばす訳にはいかず、転戦先を算段する。現在位置からいって、朝日・飯豊にしたいが、飯豊本流も林道崩壊で通れないはず。せっかくなので3泊程度の沢の手応えのありそうなところということで5級下という評価を覚えていた大石川東俣千代吉沢にした。問題は地図と遡行図だ。遡行図は森さんの家族からFAX可能となるもFAX受信が問題。探し回ったあげく、釣り具の上州屋でFAXを背にした店員に泣き落として成功。地図は、最悪5万図でもと思い、エアリアを本屋で見ると入渓点部分が載っていないではないか。役場で観光地図でもと思い、関川村の役場に行くと、なんと関川村全体の2万5千図があるではないか!遡行図と地形図を首尾よく手にした我々は、千代吉沢に向かった。大石ダムすぐ先にゲートがあり、時間を浪費している我々は呆然とするが、押せば開く。後のことは考えず、何とかなるだろうとゲートを開けて車を入れる。第一吊り橋まで車を入れて入渓準備。車の釣り師がタープを張っており、無理して車を入れたことに安心感が出た。アブが異常に少ないとのこと。さらなる幸運にほくそ笑む。13時前の入渓となってしまったが行けるところまで行こうということで進んでいく。一山越えて第二吊り橋からいきなりのゴルジュ。一箇所巻いただけで、他はほとんど泳いで突破。強力パートナーのおかげでほとんどお助けに手をつけなかった。


   
入りブナイデ沢手前でアブに少したかられ、先の懸念もあってネットをかぶるが大した被害もなく、まもなくネットは取る。16時を回り、大きな釜を持つ4m直瀑を右から泳いで越える。滝の落ち口で散漫にも考え事をして歩いていたら、足を滑らせ流れに持っていかれてしまった。つるつるの落ち口では止まりようもなく、滝身に載って釜にドポン。意外にも冷静で着水する瞬間を見計らって息をため込んだことやザックの浮力を感じながら、水面に浮かんだときやばい反転流を瞬時に探したことなど落ち着いた対応が取れた。ホイッスルで森さんにこの体たらくを知らせ、なんとか自力復帰。渓への恐怖心は意外にもなく、この後も泳ぎを多用して巻くこともなく、突破していく。
この釜でドポン


大沢手前のよく巻く所も水線通しでなんとか突破でき時間を稼ぐ。通常は大沢出合まで6時間かかるようだが、4時間で着くハイペース。ところが期待していたテン場はなく、大沢に入ってテン場を探すも、見あたらない。本流は毛虫マーク一杯だが何とかなるだろうと17時過ぎからさらに本流を登り始めた。ゴルジュを左岸から巻き、左に屈曲した所に増水には耐えられそうもないが、テン場を発見。天気予報を信じて幕とした。増水に備えた退路の確認はしておいて夕餉にかかる。夜の帳の降り始める頃、温かいものを胃の腑に落とせた。岩魚は明日に期待しよう。
大沢の手間


4時起きで6時過ぎには出発。今日は充実した気力を感じる。いきなり矢櫃の険と言われる隘路を難なく通過する。水量が多ければ突破に手こずるだろうが平水を下回っている今日はニコニコ笑顔。
矢櫃の険

スケールのある6m、10mの連続した滝は右岸から約1時間の高巻き。古いシュリンゲを2つ見つけた。沢筋にできるだけ近寄って淵に懸垂。もう少しトラバースすれば下降点もありそうだが同行者の意見を尊重。
スケールのある連瀑

最峡部50cm手前

大物の潜む釜
その後も相変わらず釜を泳いで取り付くという繰り返しでどんどん進んでいく。相も変わらないゴルジュ遡行だが、エサを待って淵の尻を遊弋してる岩魚を発見。ここまで順調なことを考えて竿を出す。一投でガツン。抜き上げることのできた大きさの泣き尺岩魚。竿をしまうが、すぐ上の釜にはさらに大きな岩魚が淵尻で遊弋。これにも竿を出し、一投でガツン。これは抜き上げられず引きずり上げるように手元に引き寄せた。35cmの大物。ハリスは1号の源流用仕掛けだから切れるはずはないが慎重に寄せた。各淵で大物を引き出せそうだが、テン場予定の広河原も岩魚パラダイスとのことだし、ここは遡行に専念


しばらく行くと下の河原に出た。予定よりかなり早く、ここで大休止に。先ほどの泣き尺の岩魚を刺身にして、そばを茹でる。これに旨い濁り酒でもあればいうことはないんだが、さすがに贅沢というものか。
昼食。岩魚の刺身とざるそば
広々とした河原で竿を出したりして1時間半以上過ごす。時間を考え、ザックを背負って歩き始める。しばらく行くと谷は徐々に左右に広がり出しはするが、渓の雰囲気は明らかに雪国のそれに。数mの側壁の上にそよぐ草付き、そのはるか上にようやく樹林帯。どこから取り付いても大高巻き間違いなしの雪国の沢だった。そこに出ました雪渓が。先の見通せる雪渓なので、一人ずつ足早にくぐり抜けた。いつやっても心臓に悪いモンだ。そこからも泳ぎを交えたゴルジュ突破が主体で、9m斜瀑を越えるとまもなく上の広河原に着いた。まだ、15時でゆっくり釣り上がろうということで竿を片手の遡行となる。どの淵でも岩魚が元気よく飛び出してくる。ただ源流域なのか、塩焼きサイズばかりで竿を引き絞るような尺オーバーは来なかった。お土産骨酒用まで確保して終了。この夜も明日の晴天を約束してくれる星空の元、焚き火のそばでうたた寝。
骨酒が効いたのか4時ジャストに自然と目覚める。山の躰になってきたなと思いながら朝食を取り終え、出発。この日は源流部を越えて一気に稜線に抜ける日だ。核心は今日かと考えると身も締まる。高巻きすらも難しい雪国の渓の千代吉沢は、絶妙なラインで登れる滝ばかり。3m滝を持つ釜ではせっかく持ってきたのだからと泳いでカムを噛ませて人工で抜けたりもした。

楽しく人工

不用意に高い位置取りでトラバースすると沢筋に降りるには恐い高さになり、追い込まれる事があった。これが飯豊なのか。何度かあった高巻きはできるだけ位置取りを低く抑えるように心がけたが、そのほとんどが絶妙に滝の落ち口に至るものだった。一度多数の残置に引かれて懸垂したものの、それも草付きをトラバースすればフリーで降りられたようで、渓の見る目のなさを自覚。


源流の趣になるも続く連瀑

雪渓くぐり



稜線までもう少し

来し方

この日も雪渓の少なさに感謝。それでも、何度か雪渓をくぐったり、巻いたりしたが、豪雪の年ならどんなに手を焼かされる沢かと思える美しい沢筋の景色だった。北ノ大沢を分けると源流の趣となり、なおもしつこく出てくる滝を越えながらゆっくり、ゆっくり頼母木山に登っていった。源流域の風になびく草付きは味ある雪国の渓。マツムシソウやヨツバシオガマの咲く草むらを登っていくと突如登山道に出た。後ろを振り返ると険を秘めてるとは思えない柔らかな沢筋がゆっくり北に向かって落ちていた。頼母木避難小屋で今夜の宿を求め、同宿者のいない小屋で思いっきり荷物を広げて、17時過ぎには小屋で求めたビールで乾杯したあとは、思いのままに杯を重ねていった。18時半にもなるとやはり疲れてたのか、早々に寝息を立てていたようだ。一晩中風が強かった。
翌朝、窓をみると曇天で、どんどん雲量が増えてく。それでもゆっくり下山すればいいやと思っていたら、ポツポツ降り始めてあわてて下山モ−ドに入る。逃げるように小屋を後にして、       
途中の避難小屋で小休止の後、コースタイムを大幅に縮めたスピード下山で、車に着いた。他の釣り師がいるのか、入渓時とは違うテントが張ってあり、ゲートはまだ締められてないと安堵して、車に乗った。ゲートで森さんが開けようとするが動かないようだ。動きの固まる一瞬。ハンドルを握る私も「えっ、マジで??」と思いながら近づくと、やはり鍵が閉められていた。土曜日だし、営林署に行ってもと浮かれ気分の下山モードを破られ、うつろに空を仰いだとき、1台の新潟ナンバーがゲートに来た。Uターンして往路を戻ろうとする作業着を着たドライバーにすかさず声を掛けるとなんと、林道の監視員で、お願いするとカギを取りに行ってくれるとのこと。この上ない幸運で、10分も経たないうちに、同行した森さんと一緒に戻ってきてくれた。全国共通というゲートの鍵の開け方も知った上(もちろん専用の道具はいるが工夫次第で作れそう)に、難なくゲートを突破できたのは幸運だった。大石川でゲートを閉鎖するのは珍しいとのことだった。

コースタイム
8/11 第一吊橋―4:30―大沢出合―0:20BP
8/12 BP―4:10―下の広河原―1:50−広河原
8/13 BP―5:20−北ノ大沢―3:20―稜線―0:20―頼母木避難小屋
8/14 頼母木避難小屋―5:05―第一吊橋

遡行情報
○千代吉沢は全体的に幕場に乏しい。安心できる幕場は樹林帯に上がって求めるのが無難。
○ゴルジュを水線通しに行くことを勧めたいゴルジュ突破の渓。
○ヤマザキ系のコンビニ、デイリーストアでFAX受信機能があることを確認(関川村で)
○FAXを頼むなら、人情を突いたいやらしいやり方だが、FAX電話を背にしたレジで頼むと断られにくい(もちろんなんか商品を買ってあげましょう)
○2万五千図は防災等の観点から地元の役場が持っている事がある
○頼母木避難小屋は素泊まり1500円、ビール700円
○ゲートで閉じこめられたとき、カギはダムの事務所か、直近の集落にあるのでは



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